CSVとは?

CSV(Creating Shared Value)=共有価値の創造

社会価値:社会的課題への対応
企業価値:自社の利益獲得、競争力向上

出所:FSG

CSVとは、市場経済のメカニズムを生かし、ビジネスの力で社会問題や環境問題などにかかわる社会的課題に取り組み、社会価値と企業価値を両立させる取り組みです。
企業価値と社会価値の循環により、ソーシャルインパクトを継続的に拡大します。つまり、社会的課題に対応することで、自社の利益や競争力につなげる経営戦略です。
企業の社会価値創造の取り組みに競争戦略の考え方を取り入れ、スケーラブルかつサステナブルに推進しようとするところに特徴があります。

 

CSVが求められる背景

企業が社会のためにあるという考え方がある一方で、企業活動は社会的課題を生み出す原因にもなっています。なぜでしょうか?

産業革命以降、過去200年で人口は6倍、経済活動は50倍になりました。これら経済の拡大をもたらしたのは企業を中心とする利益至上主義であり、「企業が利益を求めていけば、社会は豊かになり、人々は幸せになる」という考えです。そのため多くの人が「企業価値と社会価値はある程度相反するものだ」と考えるようになり、社会的課題を生み出してしまったのです。社会的課題は深刻化しています。そして、政府の課題対応力は低下し、企業の課題対応力は強化されていったため、企業に対する社会的課題対応への期待が高まっていったのです。

なお、企業には企業の、政府には政府の、NPOにはNPOの長所と短所が存在します。これら3つのアクターが、コラボレーションを行い、短所を補い長所を活用しながら、社会的課題の解決を行う動きも見られます。(トライセクター・コラボレーション)

 

具体的に、CSVとは?

<CSVの推進パターン>

CSVは、ビジネスレベルとコーポレートレベルの戦略として進められます。

<ビジネス戦略としてのCSV -3つのアプローチ- >

CSVは、ビジネスレベルとコーポレートレベルの戦略として進められます。

 

1.製品・サービスのCSV(社会問題を解決するイノベーション)

社会的課題に対応する製品・サービスにより、新しい市場を創り、市場を拡大させるものです。顧客ニーズが顕在化していない社会的課題をビジネス化し、新しい市場を創造することが基本です。社会にとっての価値を生み出せば生み出すほど、自社の利益競争力向上につながります。

2.バリューチェーンのCSV 

バリューチェーンのCSVは、社会的課題に対応しつつ、原料調達、生産、物流、流通、人材管理などの生産性を高めるものです。これには以下の基本パターンがあります。

バリューチェーンのCSVは、すべての企業で必ず実施できるものです。また、“非競争分野の協働”として、競合企業間または異業種間でコラボレーションして進めることのできるものです。

3.ビジネス環境のCSV(クラスターのCSV)

企業を支えるビジネス環境のうち、競争力に大きな影響を及ぼすものとして、以下があります。これらに関連する社会的課題を解決することにより、自社競争力を強化することが可能です。

「ビジネス環境のCSV」は、特定の地域で必要なビジネス環境を整備するという観点から「クラスターのCSV」とも呼ばれます。社会と企業の関係に注目し、社会が企業活動を強化・サポートするよう働きかけます。

<3つのアプローチの統合的推進>

3つのCSVは、個別に推進することも有効ですが、統合的に推進することでより継続・拡大力のあるビジネスシステムが構築されます。

<コーポレート戦略としてのCSV>

自社を社会価値(目的)で定義しなおす企業が増えています。これにより、社内外の意識が変わるほか、ビジネスのやり方も変わります。事業ポートフォリオ(事業範囲、生存領域)の軸を製品・サービスから目的(パーパス)へと変えることで自社の価値提供の可能性が広がります。

全社的にCSVを進めるために、“CSVマテリアリティ”を特定し、それに基づきCSV戦略を描くことも有効です。マテリアリティとは、ステークホルダーとの対話などを通じ特定する、取り組むべき重点課題です。自社が本質的に追求すべき課題を特定することは、マネジメントを効果的に進める上でも、ステークホルダーとの関係を構築する上でも重要です。

出所:Nestle HP

マテリアリティを特定する際は、2015年9月末に国連で定められたSDGs(持続可能な開発目標)が参考になります。17のゴールと169の具体的なターゲットで構成されており、人類と地球にとって重要な課題がまとまっています。

http://www.unic.or.jp/files/sdg-logo.png

<CSVの特徴的アプローチ>

CSVの特徴的アプローチとして、政府、企業、市民セクター、財団などが、互いの強みを活かして社会的課題に取り組む“Collective Impact”があります。社会価値創造の大義のもとに、協力し合い、WIN-WINの関係をつくりあげます。

多様なセクターが、互いの強みを活かして社会問題に取り組むCollective Impactの要諦は以下のとおりです。

出所:FSG

<CSVの評価>

CSVを評価するには、CSVによって生み出した社会的成果とビジネス上の成果を結びつけ測定する必要があります。
それぞれ別々に測定するのではなく、事業戦略に統合された社会価値の測定が必要です。

出所:FSG

STEP1はマテリアリティの特定と優先順位をつけること、STEP2はCSV戦略を立てることです。
その際にどういった社会価値と企業価値が生み出されるのか、価値創造の可能性を仮説として立てます。

STEP3では、進捗を調査・追跡します。ロードマップを立て目指す目標に対して、投入資源と事業活動、アウトプット、計画に対する財務パフォーマンス(収益とコスト)の調査・追跡を行います。
STEP4では測定結果をもとに仮説の検証を行います。社会的成果とビジネス上の成果との間の予測した関係性が正しいかを確認し、企業のリソースと労力の拠出が優れたジョイントリターンを生んだかを判断します。

出所:FSG

社会的影響を測定する指標は多く存在します。多くの企業はそれを用いて自社の事業に生じる便益を考慮せずに自社の社会的パフォーマンスや環境パフォーマンスの測定を始めています。また同様に、社会への影響を考慮せずに自社の財務結果を測定しています。

CSVの測定では、社会的成果とビジネス上の成果を結びつけることを重視します。そのため、測定するアプローチや指標は多岐にわたります。100%の価値を測定することはできませんが、しかしこれら重要な要素を正確に測定できると、事業の運営方法の本質的な改善にもつながっていきます。
「サステナビリティ関連指標」や「影響アセスメント」、「コンプライアンスの測定」、「評判測定」などの指標は、CSV戦略の測定には不十分です。これらは企業間の比較可能性、さまざまな問題についての包括性、そして企業の社会的責任に重点が置かれていますが、これは、ビジネスと社会の発展との間の根本的関係を変える、ビジネスと社会的価値とのつながりに適した測定ではないからです。
たとえば、少規模での実証実験を行い、社会的成果とビジネス上での成果の測定を行います。それをもとに予測を立て大規模化し、大規模になってからも効果測定を継続し調整していきます。

社会的成果はビジネス上の成果より成果が出るのに時間がかかるので、中間成果物を測定します。

一般社団法人CSV開発機構:
Japan CSV Business Development Organization